こんにちは高山です。
先日昼休みに80才になる千葉県に住む母と電話で話をしていました。
会話の中で母が私に
「あんたは肝心な時にダメだから」と笑いながら言ったのです。
何十年ぶりにかに聞いた、母にしてみれば何気なく口にしたこの一言に、私の中に閉じ込めていた感情に火が付きました。
表には出しませんが、ものすごく腹が立ったのです。
普段、私は母に対し、心より感謝しております、尊敬もしております。
しかし、この言葉を子供の時に言われ続けていたことを思い出したのです。
インナーチャイルドについて
自律神経と親子関係の関連性を理解するには、「インナーチャイルド」という言葉を知っておくことが重要です。
インナーチャイルドを提唱し始めたのは、ジョン・ブラッドショーだとされています。
セラピストだった彼は1993年、著作「インナーチャイルド―本当のあなたを取り戻す方法」にて、インナーチャイルドという言葉を発明しました。
この本が大ヒットしたことにより、インナーチャイルドという概念は世界中に広まっていきます。
心理学の世界でも普通に使われるようになるほど、インナーチャイルドにまつわる説は大きな反響を呼びました。
インナーチャイルドとは、大人の中に住んでいる子どもとも言い換えられます。
通常、人は成長するに従い、思考や行動が成熟していきます。
そのことで、対人関係が円滑になり、社会生活を営めるのです。
しかし、何らかの理由でインナーチャイルドが根付いてしまうと、年齢を重ねても成熟した考え方ができなくなってしまいます。
また、特定の場所や作業について強い抵抗感を覚えるなど、対人関係にも支障をきたします。
インナーチャイルドとは?具体的な症状は?どのように癒すのが効果的なのか
この状態は自律神経失調の一環と言えるでしょう。
ドラえもんの親子関係
私が子供だった昭和40年代50年代、周りの親子関係ではこれぐらいの会話は当たり前でした。
時代的に常識だったので私を含め、私の周りの人たち誰一人、親が子に対し「あんたは肝心な時にダメだから」という言葉に疑問を持つ人はいませんでした。
わかりやすい例をあげるなら、アニメ【ドラえもん】の中の親子のやり取り、それが当たり前の時代でした。
のび太のかあちゃん、ジャイアンのかあちゃん、しずかちゃんのママ。
当時は単純に笑って見ていましたが、今視聴するとどのお母さんも子供を思う愛は感じますが、何気ない一言が気になります。
多かれ少なかれこどもを傷つけ委縮させ、可能性を奪っていると思える場面があります。
無意識に発する親の言葉が子供の個人差はありますが、マイナスな方に洗脳してしまうことがあります。
このような関係性の場合、自律神経が乱れてしまい、動悸やパニック発作・不安感などにつながるケースが出てきます。
何気ない一言が人生を変える
「あんたは肝心な時にダメだから」と言われ続けた私は、無意識に自分は「肝心な時にダメな人間なんだ」と思うようになっていました。
今思うと自信を失っていました。
無力感でいっぱいでした。
大人になった私の目線から当時の自分を客観的に見て、ごく普通に思えます。
当時の自分に何一つ落ち度がなかったと思えるのです。
先のことは誰にもわかりません。
能力が見合うなら、うまくいくのかうまくいかないのか五分五分。
だとしたら誰に対しても「あなたは上手くいく」と伝えてあげても良いと思います。
何故親は子供を苦しめる言葉を発してしまうのか?
親が子供を苦しめてしまう言葉を発してしまう理由、それは2つあると考えられます。
1つ目は日本古来からある文化、風習。
もう一つは「基本的に親は子に辛い思いをしてほしくないから」と考えていることです。
親は子に傷つかないでほしいと無意識に願っています。
そこで、子供が傷つかないように「どうせ挑戦してもダメなのだから」と言います。
結果が悪くても大丈夫だと、子供に無意識に言い聞かせるのです。
そして結果が悪いと「ほらだめだったでしょう!!だから、傷つかなくてもいいのよ!!」と無意識のメッセージ
また、親自身、期待をしなければ失望もないので、子供のマイナス面に目を向け、子供は自分の期待に沿えないと無意識に思って自分を防御するのです。
矛盾していますがこのメカニズムで行われる場合が多いのです。
最初から子供を傷つけようと行っていることではないのです。
可能性を奪わる言葉を言われ続けた子供は自信を無くします。
ダメな奴だと自分を忌み嫌います。
どんなに頑張っても報われる気持ちはなく、頑張っても頑張ってもダメな奴だと自分を責め続け、疲れ切ってしまいます。
親子関係によって自律神経が乱れてしまう時の対処法
私は電話で久しぶりに聞いたこの言葉に、数日間腹を立てていました。
今更80才になる母にこの感情を言って傷つけるようなこともしたくありません。
そこで自分の素直な感情を紙に書きました。
気分の悪い作業ですが向き合いました。
次第にわだかまりが解け、自然と今の年齢の私目線で、当時の母のことを思ったのです。
当時の母は今の私よりはるかに若く周りに親戚もいない。
家族を顧みない父、母一人で幼い子供を3人抱え必死に生きていたんだと思えた時、怒り・わだかまりが次第に消えって行ったのです。
母も同じように「お前はダメだ」と祖母に育てられ、無力を感じていたのでは?と思うと、親としてではなく一人の人間として辛かっただろうと思えたのです。
完璧な人間など存在しません。
親も一人の人間なのです。
親も子育ての初心者なのです。
もしあなたが、自分が親や周りの人に傷つけられてきたと感じる場合
傷ついたり、嫌な感じのする言葉を書き出します。
その時、どんな感情を感じるか書き出します。(無理はしないでください。嫌悪感の強い時は中止してください。)
感情を感じ切ります。
感情を感じ切った後、今の目線でその時の状況を客観的に観察します。
今の大人の目線で、その状況を検証します。
言われた言葉は当時の自分に当てはまるのか?
その言葉を言った人の立場、状況を検証します。
無意識にその言葉を発する理由を考えます。
その時の子供の自分の立場にたってあげます。
どんな状況であれ子供の自分に寄り添います。
共感します。
自分が子供のころの自分の親の立場になり言葉を掛けます。
自分が子供や他人に対して行ってしまった場合
謝り正せばいいのです。
私も子育てをする中で多くの間違いを犯し、子供に謝ってきました。
正しい、常識というものは国や時代によって変わります。
当時、その頃の常識を破ると精神的にも肉体的にも殺されたのです。
第二次世界大戦中の日本の常識を、今正しいという人はほとんどいません。
私が育ってきて常識だと思っていることが子供にとって苦痛であったとわかった時、絶望感でいっぱいになりました。
無意識に子供を苦しめていたと。
子供を苦しめていたと落ち込む感情すら実はエゴだと思いました。
冷静になり、子供の立場に立って考えることができた時、自分の中に広がりを感じたのです。
私が子供の時に親に、
「お前は大丈夫、何があっても私は味方だ!!」
と言ってもらえたらよかったと思います。
だから自分自身に自分からこの言葉を伝えます。
また、子供や他者にこの言葉を伝えたいと思います。